「オレ流」では「中日文化」が守れない?
落合監督と球団、親会社とは決して一枚岩ではない、と前々からささやかれていた。「オレ流」といわれるように落合監督の個性は強い。孤高の存在になっていた。中日のOBたちともしっくりいっていなかったのも事実。メディアの対応も最小限だった。「落合監督は、プロは勝てばいいんだろ、との態度に見られていた。中日という球団はOBを大切にするからOBの意向が強く、そのOBは愛想のない落合監督と距離があった」と中日関係者から聞いたことがある。
確かに落合監督は、従来の野球人と異なる言動がしばしばあった。プロ野球選手会が労働組合を作ったとき脱退。その選手会が勝ち取ったフリーエージェント(FA)制度を利用して移籍し、大金を手にした。2000本安打を記録したときは名球会への入会を断っている。こういった出来事が「オレ流」といわれるゆえんなのだろう。自分の生き方を明確にしている点はプロらしいと思うが、扱いにくいとの批判があったのも本当だ。
後任監督はOB会の会長である。高木氏は70歳と高齢。監督要請があったとき「青天のへきれきだった」と言ったように、だれもが驚く人事だった。球団は大物OBを充てることによってファンの批判をかわしたとも受け取れる。球団とOBの連合軍が今回の退団劇の構図と分かる。もし日本シリーズで勝ったとき、落合復帰コールが起きるかどうか注目される。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)