民間の退職金は「右肩下がり」が続いている
実際、事業所の規模が小さくなると、退職金の額は大きく下がる。厚生労働省が、従業員が30人以上いる民間企業を対象に行った「就労条件総合調査」によると、07年に定年を迎えた大卒社員の退職金(勤続20年以上)は2026万円。この調査によると、97年が2868年、02年が2499万円で、「右肩下がり」が続いている。これは、民間の給料が下がっているのと連動しているためだ。これに対して、国家公務員の退職手当は03年以降改定されておらず、ほぼ横ばい。この点でも、格差が指摘されている。
国家公務員の人件費をめぐっては、民主党が政権交代を果たした09年夏の衆院選のマニフェストで「13年度までに総額2割減」を掲げており、菅直人政権でも片山善博前総務大臣が、たびたび退職手当引き下げの必要性に言及してきた。これを受ける形で、人事院は11年10月3日、民間企業約6300社に対して、退職給付の水準について調査を行うことを発表した。調査は10月11日から11月30日にかけて行われ、調査結果は11年度末にもまとまる見通し。この結果を踏まえて、12年春の通常国会に関連法案を提出し、13年度からの引き下げを目指す。