次期主力戦闘機選定が大詰め 「出来レース」でF35なのか

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   航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の選定作業が大詰めを迎えている。防衛省は米欧の航空大手3社に候補を絞り、2011年9月下旬にメーカー側の提案書提出を受けた。年内に1機種を選定し、2012年度予算に数機分の調達経費を計上する。

   米英など9カ国共同開発のF35の下馬評が高く、関係者の間で「コンペ方式とはいえ、出来レースでは」との声もある。性能はもちろん、日本メーカーのライセンス生産がどの程度可能かなどの要素も絡み、 ギリギリのつばぜり合いが続く。

「第5世代機」のF22導入は断念

   候補は米ロッキード・マーチン社を中心に開発が進むF35のほか、米ボーイング社製のFA18、欧州共同開発のユーロファイター。

   FXは老朽化したF4戦闘機の後継機で、約40~50機(2飛行隊分)購入する計画。防衛省は当初、レーダーに探知されにくいステルス性能が極めて高い「第5世代機」のF22導入を目指したが、米側が先端技術の流出を懸念したために断念した経緯がある。

   F35が有力視されるのは、性能面の優位性。F22と同じ第5世代機でF22に次ぐステルス性能を持つからだ。軍事力増強を続ける中国が、同世代機(J20)の試験飛行をすでに行ったこともあり、「日本も最先端機を持たないと抑止力を確保できない」(防衛省筋)との声は現場を中心に強い。ただ、弱点は開発の遅れ。米軍の実戦配備は当初予定から2年遅れて2015年末で、開発に参加していない日本はさらに遅れ、希望する2016 年度末に間に合わない可能性もささやかれる。

   すでに運用が始まったFA18とユーロファイターは、実績プラス割安感をアピールする。ただ、ステルス性能はF35に劣るとされる。また、ユー ロファイターについては、欧州からの調達実績がなく、特に運用面で米軍との共同に支障が出ないか、との懸念が強い。

技術がブラックボックス化され、日本企業はタッチできない

   選定で、もう一つの重要な要素が日本でのライセンス生産。FA18は「7~8割の国内生産が可能」(ボーイング社)といい、ユーロファイターも 「技術的にブラックボックスはない」と国内生産が可能とPRする。これに対し、9カ国共同開発のF35は日本が開発に参加していないこともあり、 「日本ではせいぜい最終組み立て程度しかできない」(防衛省筋)との声がある。つまり、ほとんどの技術がブラックボックス化され、日本企業はタッチできないため、当然、中小部品メーカーへの波及効果などは期待できない。配備後に部品を国内で調達できず、運用に支障が生じる恐れも指摘され る。

   価格は、F35についてロッキード幹部が8月、1機6500万ドル(50億円)と語ったが、開発途上にあることも考えると米国内でも2倍以上になるとの見方が強い。他の2機種は、これよりは安いと見られる。また、どの機種も国内生産のためには、ライセンス料と生産設備を設ける費用負担が加わり、さらに高くなる。国内支援戦闘機F2(9月末に生産終了)の場合、94機国内で生産して1機120億円と、開発のベースになったF16の 2倍以上だった。

   防衛省が選考に当たって重視するのは、①性能②経費③国内企業の参画④後方支援の順とされる。①はF35優位と見られるが、②③を含め、 防衛省がどう判断するか。数千億円、場合によっては最終的に1兆円規模に膨らむ可能性もある大型商談だけに、選考作業は要注目だ。

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