技術がブラックボックス化され、日本企業はタッチできない
選定で、もう一つの重要な要素が日本でのライセンス生産。FA18は「7~8割の国内生産が可能」(ボーイング社)といい、ユーロファイターも 「技術的にブラックボックスはない」と国内生産が可能とPRする。これに対し、9カ国共同開発のF35は日本が開発に参加していないこともあり、 「日本ではせいぜい最終組み立て程度しかできない」(防衛省筋)との声がある。つまり、ほとんどの技術がブラックボックス化され、日本企業はタッチできないため、当然、中小部品メーカーへの波及効果などは期待できない。配備後に部品を国内で調達できず、運用に支障が生じる恐れも指摘され る。
価格は、F35についてロッキード幹部が8月、1機6500万ドル(50億円)と語ったが、開発途上にあることも考えると米国内でも2倍以上になるとの見方が強い。他の2機種は、これよりは安いと見られる。また、どの機種も国内生産のためには、ライセンス料と生産設備を設ける費用負担が加わり、さらに高くなる。国内支援戦闘機F2(9月末に生産終了)の場合、94機国内で生産して1機120億円と、開発のベースになったF16の 2倍以上だった。
防衛省が選考に当たって重視するのは、①性能②経費③国内企業の参画④後方支援の順とされる。①はF35優位と見られるが、②③を含め、 防衛省がどう判断するか。数千億円、場合によっては最終的に1兆円規模に膨らむ可能性もある大型商談だけに、選考作業は要注目だ。