過去にも根回しなしの強引な手法
一方、今回の一連の動きを「根回し、事前調整なく、不用意な発言や行動に走り、収まりがつかなくなる悪い癖が出た」との批判も強い。鳩山政権成立直後、国土交通相に就任していきなり、地元との調整もなく八ッ場ダム中止を宣言。JAL破綻の際には、親しい関係者を中心に構成した「タスクフォース」に再建計画を練らせようと独走した挙句、タスクフォースは解散、「1カ月を無駄に空費し、経営悪化を加速させた」(JAL関係者)。さらに、尖閣列島近海の中国漁船事件では、船長の逮捕を主導しながら、途中からは釈放に転換した――など、これまでも批判されることがあった。マスコミでも「『言うだけ番長』という不名誉な称号は不動のものとなりかねない」(9月30日「産経新聞」)と、今回の動きを揶揄する報道もある。
もちろん、前原氏が10月4日に、円高を活用した資源確保や海外企業の買収などを積極的に進めるよう、野田首相に申し入れたことをとりあげ、元外務省主任分析官の佐藤優氏が前原氏を高く評価する(7日「東京新聞」)という報道もある。
いずれにせよ、これからの3次補正や復興増税をめぐる与野党折衝は、野田政権の動向はもちろん、国民的人気の高い政治家・前原氏の将来を占うポイントにもなりそうだ。