再発売も検討するというが、車種や時期は未定のまま
しかし、パワフルなロータリーエンジンは、吸排気バルブを持たない構造などから、レシプロエンジンに比べて燃費が悪いのが弱点だった。1970年代初頭は日産など大手メーカーがマツダに続いてロータリーエンジン車を発売する計画だったが、1973年の石油ショックで立ち消えとなり、四輪車で量産化したのは世界でもマツダだけになった。
その後のマツダはロータリーエンジンの燃費改善が命題だった。このため最後までロータリーエンジンが残ったのは、多少燃費を犠牲にしても高性能を優先できるスポーツカーだった。本格的なスポーツカーとして人気があったRX‐7は2002年に生産中止となったが、この時は後継モデルとしてRX‐8の存在が知られており、次期RX‐8の開発も伝えられていた。
ところが、今回は次期モデルの存在は伝わってこない。マツダはロータリーエンジンの開発は継続し、搭載車の再発売も検討するというが、車種や時期は未定のままだ。果たして本当に現行RX‐8が最後のロータリーエンジン車となってしまうのか――。今秋の東京モーターショーに、マツダがロータリーの参考出品車を展示するかどうかが、今後を占う最大の関心事となるだろう。
2012年6月のRX‐8の生産中止について、マツダの山内孝代表取締役会長・社長兼CEOは「ロータリーエンジンが多くの方々に愛されていることを強く実感しています。RX‐8の生産は終了しますが、ロータリーエンジンがマツダの魂のひとつであることに変わりはありません。マツダは今後もロータリーエンジンの研究・開発を継続していきます」とコメントしたが、次期モデルについての言及はなかった。