退職勧奨されても、労働者に応じる義務なし
「未払い残業代を取り返す方法」(ダイヤモンド社)の著書がある特定社会保険労務士の松本健一氏(46)に感想を聞いた。
「適正に下された」低評価をもとに退職勧奨をすること自体に問題はない。しかし、本人が退職を断った後も執拗に退職を迫るなどの行為があれば、違法性が出てくる。
部署異動も就業規則にのっとった範囲なら良いが、異動に伴い賃下げも同時に実施するような場合は問題がある。
一方、1度目の低評価後の指導・教育を文書などで明確化した上で適正に運用すれば、緊張感を持った組織運営が出来て「労使共栄」につながる可能性もあるとみる。
また、日本能率協会コンサルティング(東京)の阿部正和チーフ・コンサルタントによると、具体的な数字(下位5%)を決めて勧奨退職を含めた措置を制度化する例は珍しい。会社の成長に乗っかるだけの「フリーライダー社員」を排除しようとする目的に照らせば、「妥当な制度導入といえる」と評価する。
厚労省によると、一般論として、人事評価をもとに退職勧奨するのは可能だが、労働者側に応じる義務はない。また、話が解雇に発展する例でも、「能力不足を理由に直ちに解雇することは認められない」。ただ、改善指導しても是正されず、業務に支障が出れば話は別のようだ。
サイバーエージェントによると、新制度は10月から導入した。人事評価は半年ごとに判定される。サイバーエージェント本体の社員は約890人(6月末)。「5%」は、約45人だ。