野球解説者の仕事は年々「狭き門」に
このような戦力外選手は以後の進路を自由に選べる。現役続行希望者は、まず他球団からのオファーを待つ。ある時期までなければトライアルを受ける。それから国内の独立リーグもある。さらに外国の球界にチャンスを求める。今は米国(独立リーグを含む)をはじめ、韓国、台湾、ヨーロッパなどがある。
ユニホームを脱ぐ場合は、球界に残るにはコーチやスカウト、打撃投手でなど裏方で新たに球団(国内独立リーグ、海外含む)と契約する。マスメディアの仕事も選択肢の1つ。ただしこれは競争が激しい。第1に知名度が大事。また、マスコミ各社では野球の扱いが減少しているという事情から、野球専門は年ごとに狭き門となっている。
多くは一般社会で再出発となる。これがまた厳しい。なにしろ子供のころから野球漬けの選手がほとんど。プロスポーツ選手のセカンドキャリアづくりの活動がある、就職支援の会社で電話の受け答えから指導を受ける。不況の時代だけに簡単に就職できるものではなく、大部分は縁故に頼っているのが実情だ。
プロで実績を残せなくてもプロ入りするときはみんな「地元のヒーロー」。そこに目をつける保険会社の代理店、コンビニ経営などの話があると聞く。それを実現するには自己資金が当然ながら必要となる。
「プロ入りするとき、一生、野球を続けられると思っていた。戦力外通告を受けたとき、頭の中が真っ白になった。どうしていいか、本当に分からなかった…」。クビになった選手の多くはそう述懐している。これが10月の「裏の顔の奥底」である。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)