首都圏で放射能を自分たちで測定しようという動きが高まっている。文部科学省の調査でセシウム汚染の帯が千葉県などにも広がっていることがわかったほか、横浜でストロンチウムが測定されたり、東京都世田谷区でも高い放射線量が報道されたりしたことなどが影響している。
測定器の売上げが伸びているだけでなく、住民たちがネットワークを作って互いに汚染情報を交換する動きも盛んだ。
「世田谷に放射線」で問い合わせ増える
「早速、売れ行きにも影響が表れています」――そう話すのは、放射線測定器のネット通販を手がける「バリューコネクト」の担当者だ。2011年10月12日、世田谷区内の民家脇の歩道で、高い放射線量が測定された。13日の測定では、線量は毎時3.35マイクロシーベルトに達した。発生源は、民家の床下にあった瓶類だったという見方が有力になっているが、当初は原発事故による放射線漏れが原因と報道されたこともあり、測定器を扱っている企業には、多くの問い合わせが寄せられた。
同社の売れ筋商品はエコテスト社の「TERRA MKS-05」で10万5000円。最近ではスマートフォンに接続して使うタイプの測定器も人気が高いそうだ。
とはいえ、測定器は安い買い物ではない。「ガイガーカウンターレンタルサービス(GCR)」では、「一人でも多くの人が測定器を利用できるように」と、震災直後から測定器のレンタル事業をスタートした。
料金は、通常の測定器で1日3500円。利用者は建築業、旅行会社などの企業に加え、一般の主婦が多数を占めるという。利用後には、心のこもった感謝状を添えてくる人も少なくないそうだ。
こちらの企業にも世田谷の件を受け、13日だけでも20件の問い合わせがあった。中には「私も世田谷に住んでいるんですが……」といった相談もあったという。