銀行の貸出金動向に「転機」の兆しが見え始めたようだ。日本銀行が2011年10月13日に発表した9月の貸出・資金吸収動向(速報)によると、銀行(都銀、地銀、第二地銀)の平均貸出残高は前年同月比0.3%減の455兆3568億円だった。減少は22か月連続だが、減少幅は縮小。前年比がマイナスに転じた09年12月以降で最少となった。
業態別では、大手銀行や信託銀行など「都銀等」が2.3%減と、マイナス幅が前月より0.3ポイント縮小。地銀は1.9%増とプラス幅が0.1ポイント拡大、第二地銀は横ばいの1.2%増だった。
一方、全国銀行協会が10月12日にまとめた9月末の預金・貸出金速報によると、貸出金(119行)は前年同月比0.1%増の420兆123億円となり、23か月ぶりにプラスに転じた。全銀協の速報値は末残ベースのため、わずかだがプラスになった。「末残だと、企業などの支払いや受け入れがある関係で瞬間的に増えることがある」(金融調査部)という。
東日本大震災の被災地にある企業から運転資金などの復興需要や、電力会社向けの需要が増えている。住宅ローンなどの貸出金もある。