ツイッターでは、結果的に誤報は訂正される??
もっとも、ツイッターを通じて「根拠が不明な情報が検証なしに拡散される」といった事象は今に始まったことではなく、09年には、行方不明になっていた元タレントの酒井法子さん(40)=09年に覚せい剤取締法違反の罪で有罪判決、執行猶予中=について「遺体が摩周湖で 発見された」との説が急速に広まった。
このような事象が繰り返される背景について、ITジャーナリストの井上トシユキさんは
「記者であれば、ある程度教育を受けている上、誤報を出した際は(1)訂正記事を出して上司に怒られる(2)名誉毀損で訴えられるというように『痛い目にあう』のに対して、ネットの匿名ユーザーは、基本的には痛い目にあったことがない。リスクを背負っていない」
と、構造的な問題を指摘する。また、
「結果的に誤報になった情報は、フック(つかみ)があるからこそ拡散するのに対して、いわゆる『訂正ツイート』は、フックがないので大して拡散しない」
と、「ツイッターでは、結果的に誤報は訂正される」説にも懐疑的だ。さらに、今後の対策についても、
「『情報をうのみにしてはいけない。出典を確認しないといけない』といった基本的なことを言い続けるしかない。下手に厳密に対策を打とうとすると、『ネット実名制』のような、別の弊害がある動きが出てくるでしょう」
と、現時点で打てる手は限られているのが現状のようだ。
なお、削除されたブログの文章には、
「日本人には、著しくメディア・リテラシーが欠如していると思うの。メディア・リテラシーって、つまり、色々な情報をもとに、物事の真意を見ぬく能力」
という主張も含まれている。情報の「根拠を確認する」「原典にあたる」ことの難しさを逆説的に裏付けた形だ。