採掘に伴う環境破壊がネックになるのか
米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)のレポート(2011年4月)によると、世界32カ国で技術的に採掘可能なシェールガスの埋蔵量は 6,622兆立方フィート。国別では(1)中国(1,275兆立方フィート)、(2)米国(862兆立方フィート)、(3)アルゼンチン(774兆立方フィー ト)、(4)メキシコ(681兆立方フィート)など(日本は地質年代が新しいため、商業規模で生産することは難しい)。今後、中国など途上国や欧州なども開発に力を入れるのは確実で、「シェールガス時代到来」とはやす向きもある。
ところが、ここにきて、期待に水をさす声が広がっている。理由は採掘に伴う環境破壊だ。
問題はシェールガスの掘削法。米国など採用されている水圧破砕法は、水を圧入し、岩石がひび割れるまで圧力を高め、天然ガスを放出させる。破砕層の安定のため、砂と化学薬品も注入する。ガスは岩石から押し出され、地表のガス井から改修される仕組みだが、メタンなどの成分が地中へと拡散し、周辺の土壌や地下水、河川の水などを汚染する可能性がある。米国では一部採掘現場近くで、「火が付く水」が問題になっている。
採掘の際に大気中にメタンガスが漏れ出るのも難点だ。シェールガスは漏れなく回収できるわけでなく、通常で3分の1、場合によっては回収されるガスの2倍が大気中に放出されていると言われる。メタンの温室効果はCO2の21倍で、地球温暖化を深刻化させる恐れがある。
専門家は「本格的に世界のエネルギーの柱に育てるためにも、環境問題をクリアする必要がある」と、安易な期待を戒めている。