阪神大震災の被災住宅再建を支援するため国の補助金で設置した基金約230億円が活用されず6年間積み残されていたことについて、会計検査院は2011年10月7日、兵庫県から返還を受けるよう国土交通省に求めた。
基金は、兵庫県が震災後の1995年3月に県の財団法人に設置。被災者が住宅の建設や購入で住宅金融支援機構から融資を受ける際、2.5%を超える利息の一部について、5年間利子補給している。
会計検査院によると、被災者を対象にした融資制度の貸付利率は当初3.0%。しかし97年9月からは2.5%を下回る状態が続き、2005年度以降は利子補給の実績がなかった。検査院は、今後利子補給があったとしても融資制度の限度額などを考慮すると約2000万円あれば足りると試算。10年度末で230億8000万円の残高がある基金は必要分を残して速やかに返還すべきと指摘した。
兵庫県は「国交省と協議して返還したい。東日本大震災の復興に使ってほしい」と国庫に戻す意思を示している。