ツイッターの「戦争発言」騒動で活動休止に追い込まれていた北海道長万部町のキャラクター「まんべくん」が、活動再開に向けて動き出した。町と商工団体との意見交換会が開かれ、「物産展で『まんべくん』のキャラクターを使いたい」との意見が出たほか、白井捷一町長は「復活に向けた体制作りを早急に進めたい」と前向きな姿勢を示した。ただし、まんべくんの特徴でもあったツイッターの再開については、慎重論が大勢のようだ。
まんべくんをめぐっては、ツイッターでの自由奔放な発言が「毒舌キャラ」だとしてネット上で人気が高まっていたが、終戦記念日を翌日に控えた2011年8月14日、「どうみても、日本の侵略戦争が全てのはじまり」などと発言したことから、町に苦情が殺到。
着ぐるみのイベント出演やグッズ販売も中止
ツイッターは、町から商標の使用許諾を受けた札幌市の会社がボランティアで運営してきたが、町は許諾を取り消した。この影響で、ツイッター以外にも着ぐるみのイベント出演やグッズ販売も中止され、事実上の活動停止状態が続いている。
だが、まんべくんの独自のキャラで長万部町の知名度が上がったのも事実で、町民から復活を望む声があがっていた。9月中旬の町議会一般質問でも、議員から、
「人気が風化する前に復活させる道はないのか」
との質問も出た。白井町長は、
「復活の有無や時期について申し上げるのは時期尚早」
と慎重姿勢を示したものの、議会では「今後のまんべくんのあり方について意見交換をした上で、町長が最終判断する」との形でまとまった。
これを受ける形で10月5日、町と商工団体と意見交換会が開かれ、商工団体からは、
「物産展で『まんべくん』のキャラクターを使いたい」
という意見が出され、白井町長も、商標使用についてのルールの整備を急ぎたい考えを表明した。
毒舌キャラクターが、そのまま復活するのは絶望的
また、町役場の総務課によると、着ぐるみの活動や関連グッズについては、特に話題にのぼらなかったといい、
「意見を伺ったにすぎず、結論は何一つ出ていない」
と慎重姿勢。ツイッターについては、
「再開するかどうかを含めて、慎重に検討したい」
と、さらに慎重だ。
ツイッターについては、閉鎖後も、
「町の公式キャラクターなのに、ああいう怖いキャラで良いのか」
「『中の人』が勝手に書き込むと、書き込みは取り消せない。コントロールできない」
などと警戒感が強く、会合でも慎重論が多数だったという。このため、閉鎖前の毒舌キャラクターが、そのまま復活するのは絶望的だ。
ツイッター復活の可能性を完全に排除している訳ではないが、課題は多い。地方自治体が運営する「ゆるキャラ」のツイッターとしては、約2万人のフォロワー(読者)を抱える熊本県の「くまモン」(@55kumamon)などが有名だが、総じて「優等生キャラ」。仮に、まんべくんのツイッターが復活したとしても、同様の「優等生」になってしまえば、ネット利用者には逆に失望感が広がりかねない。このことから、
「人格を変えてツイッターを復活させるくらいなら、いっそのことツイッターなしで活動させた方が良いのでは」
との声も出ている。