集団食中毒事件の余波で、レバ刺しの提供禁止を厚労省が検討していると報じられ、論議になっている。塩とごま油につけて食べる焼き肉店の人気メニューは、このまま消えてしまうのか。
毎日のように、『レバ刺しはやっているのか』とお客さんから問い合わせがあります。『やっていないなら、店には行かない』と言うんですよ」
「9割以上のお客さんがレバ刺しを目当てに来ている」
レバ刺しを看板にした東京都内のある料理店の店長は、困惑げにこう話す。
焼き肉チェーン店の食中毒事件を受けて、ユッケなどの処理を新しく定めた生食用牛肉の新基準が2011年10月1日に施行された。表面から1センチ以上の部分を60度で2分以上に加熱するという厳しいものだ。
レバ刺しなどの内臓系は当てはまらないが、この料理店によると、来客の約8割がレバ刺しなどはこれでなくなると理解していた。このため、店では、まだ出していることをメールで知らせるなどの対応に追われた。
とはいえ、レバ刺しなどについても、厚労省は7月6日に自粛要請を出している。牛の肝臓は、カンビロバクターといった食中毒の原因菌が表面ばかりでなく内部にもいるとされることを重く見たためだ。さらに、提供禁止をも検討していると報じられており、もしそうなれば影響は大きい。
「9割以上のお客さんがレバ刺しを目当てに来ています。新メニューを開発してはいますが、正直困っているんですよ」と店長は漏らす。
店では、アルコール以上の殺菌能力があるという微酸性電解水を使った生肉の消毒をしており、牛肉の安全性には問題はないと言っている。食中毒事件後は、ホームページ上で、こうした取り組みを説明して理解を求めている。
一方で、レバ刺しなどの安全性を疑問視する向きも依然ある。