国会議員給与「削減続けよ」の声無視 輿石幹事長の不思議な政治感覚

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   東日本大震災を受け国会議員の給与(歳費)を月50万円カットする措置が、半年間で終了した。民主党の輿石東幹事長は「(カット措置を)延長するつもりはない」と断言した。

   カット措置の延長だけでなく、みんなの党が何度も提出している「給与3割(約39万円)、ボーナス5割カット」法案へ協力する気も民主執行部には、さっぱりなさそうだ。一方被災地では、今も県議の給与減額が続いているところもある。

削りすぎて秘書を減らさないといけない、と悲鳴?

民主党の「常識」とは。
民主党の「常識」とは。

   輿石幹事長は2011年10月6日の会見で、給与措置の延長問題について聞かれ、「それはもう一区切り立ちましたから、延長する気持ちはありません」と答えた。

   「削りすぎて秘書を減らさないといけない、という悲鳴」も輿石幹事長の耳に届いているそうだ。

   また、「歳費の削減だけが身を削ることではない」として、都内の旧高輪(国会)議員宿舎の売却や国会議員定数削減への取り組みを上げ、「そういう努力はかなりしている」とも指摘した。

   ちなみに、旧高輪議員宿舎は2007年まで使用され、その後閉鎖された。その施設の売却が、国会議員として「身を削る」ことになるという論法には疑問の声も上がりそうだ。

   議員定数削減については、輿石幹事長は「各党全部が賛成しないと進まない」とも述べ、最初から野党のせいにして腰が引けている。定数削減については、特に少数政党の中に根強い反対論がある。

   ツイッター上では、輿石幹事長発言に対し、「どんな区切りがついたのか」と疑問を呈する声もあった。

   4月から9月まで、大震災を受け、復興財源を少しでも多く確保しようと、国会議員ひとり月129万4000円の給与中、50万円を削減する特例法を制定していた。半年でひとり300万円、総額で約21億6000万円を捻出した。この措置が9月で終わり、10月から満額に戻るのだ。

「国民はしっかり見ていますよ」

   みんなの党は、厳しい財政状況を受け、震災前から「国会議員がまず身を削るべきだ」として、「給与3割、ボーナス5割カット」法案を国会へ提出していた。震災を受け、給与カット措置が終わる9月以降も給与カットを続けるべきだ、と9月の臨時国会へも提出した。

   しかし、「民主党、自民党等からは、まったくの『音なし』」(みんなの党、江田憲司・幹事長)だったようだ。

   政府は、国家公務員の給与引き下げ法案(平均7.8%)を国会へ提出している。朝日新聞は10月1日付朝刊の社説で「自分たちは満額を受け取り、公務員給与は減らす。こんな理屈が通るはずがない」と指摘。議員歳費(給与)の減額を強く求めた。

   被災地の福島県の県議会では、6月から次期改選の11月下旬まで議員報酬(給与)を10%カットすることを決めている。また、岩手県議会では5月から、改選があった9月中旬まで、15%の削減をしていた。改選後、給与カットを再度実施しようとの動きも議員間で出ている。両県とも、震災前から3月末まで、2~5%の削減を実施してもいた。

   福島県の石原信市郎県議(県民連合)に話をきいた。県民連合は、民主党系議員らで構成する会派だ。

   石原県議は、「国会議員のことは、国民の常識に照らし、国会で決めてもらえればいい」と静かに話した。

   「国民の常識」とは、復興増税や公務員給与削減が議論される中、「国会議員は満額」はおかしい、というニュアンスなのかと質問すると、石原県議は「常識は常識、としか言えませんね。国民はしっかり見ていますよ、ということです」と答えた。

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