米ニューヨークのウォール街で起きた抗議活動は、開始から20日が経過した。活動に加わった人は1万人規模に達したとも伝えられている。
全米各地でも類似のデモが発生。参加者はソーシャルメディアを駆使して連携を深め、デモ隊支持を打ち出す外部団体も増えている。
ニューヨーク証券取引所に「攻撃宣言」
若者たちが中心となってウォール街を占拠し続ける抗議活動は、現地時間2011年10月5日、全米自動車労組(UAW)や全米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)といった米国最大規模の労働組合が合流し、経済格差や失業問題の解決を訴える声はますます高まっている。
デモ側が運営する「ウォール街を占拠せよ」のウェブサイトには、警備に当たるニューヨーク市警とデモ参加者が夜の街中でもみ合いになり、混乱に陥っている様子が動画で紹介されている。警官の中には、デモ隊を遠ざけようと警棒らしきものを振り回している姿も見られた。
「占拠せよ」を合言葉に、抗議活動はシカゴやサンフランシスコ、シアトルと全米各地に波及。SNS「フェイスブック」には関連ページが続々と立ち上がり、参加者同士がツイッターや動画投稿サービスを使って連携をとっている。各地から送られてくる「生放送」を見てみると、サンフランシスコから中部セントルイスの参加者へ呼びかけて現地の様子を聞くシーンもあった。
「場外戦」も出てきた。国際的なハッカー集団「アノニマス」が動画投稿サイトでデモへの支持を表明し、多数の逮捕者が出たことの報復として、現地時間10月10日にニューヨーク証券取引所へのサイバー攻撃を仕掛けると宣言したのだ。アノニマスはこれまで、政府当局や大手企業のサイトに向けて攻撃したと見られており、今回の動きも不気味だ。
WTOシアトル会議の抗議活動に影響
あらゆる階層の人が参加しての「指導者なき抗議行動」というスタイルは、中東で相次いで起きた「アラブの春」という市民革命を参考にしていると、「ウォール街を占拠せよ」のサイトでは書かれている。また10月5日付の英フィナンシャルタイムズ(電子版)によると、1999年に米シアトルで発生した反グローバリゼーションのデモにも影響を受けたようだ。この年の秋にシアトルで開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議をめぐって、市民団体を中心に大規模なデモが発生し、市内は「非常事態宣言」が出されるなど一時騒然となった。この影響もあって会議では意見集約に失敗して共同宣言が見送られた。抗議運動が一定の成果につながった「実績」となった格好だ。
着地点が見えないまま、ウォール街でのデモは現地時間10月6日、開始から20日目を迎えている。