米アップルが「アイフォーン(iPhone)」の最新型となる「iPhone 4S」を発表した。事前に期待された「iPhone 5」という「全面改良版」ではなく、現行モデルのまま機能面を拡充させた機種となった。
話題の製品だけに、期待を膨らませていた人たちからは発表後、「新味に乏しい」との失望の声が、ネットに寄せられている。
「au」ウェブサイトのトップに「iPhone 4Sまもなく登場」の文字
「iPhone 4S」は、外見上は2010年6月に発売された「iPhone 4」と変わらない。ただし、機能面では随所で向上が図られた。
内部に搭載する半導体の処理能力が最大2倍となり、画像や映像などグラフィックの処理速度を7倍まで引き上げた。基本ソフト「iOS」も刷新して操作性がアップ。また、アップルが提供するクラウドサービスを通じて、文書ファイルや写真データをiPhoneとインターネット上で共有、管理できるようにもなる。
国内では、うわさとなっていたKDDIからの発売が確定し、ソフトバンクモバイル(SBM)と合わせて2社での販売が実現する。KDDIのブランド「au」のウェブサイトのトップページには早速、電話機の大きな画像とともに「iPhone 4Sまもなく登場」の文字が躍った。
発表前からさまざまな憶測が飛び交った新型iPhoneだが、その中身が明らかにされると、意外にも「不満」が出ている。「iPhone 4S」が発表された米国時間2011年10月4日、アップルの株価は約5%下落した。
国内ではどうか。インターネット上の反応を見ると、「iPhone 4のままでいいや」「マジで拍子抜けだったな」と今ひとつ芳しくない。中には「iPhone5は何か月後に出るんだ」と気の早い書き込みも見られる。
KDDIからの発売決定にも、10月5日時点では、詳細な料金プランが出されていないこともあり、SBMからの「乗り換え」を考えている人もひとまず見守っているといったところのようだ。
「もうちょい驚きがあると思った」
待ちに待った新型iPhoneのはずなのに、消費者の反応が冷めているのは、ネット掲示板の「もうちょい驚きがあると思った」との書き込みが示しているように、「iPhone 4S」が、これまでアップルが生み出してきたような革新的な製品とは思えないのかもしれない。機能面では拡充していても「見た目」が従来機と同じという点も、高まっていた期待がしぼむ要素となった可能性もある。
「iPhone 4S」の目玉機能である音声認識機能が、現時点では日本語に対応していないのもマイナス要因だ。この機能は、例えば車の運転中、信号待ちをしている最中にiPhoneに向けて「今の交通状況はどうなっている」と話しかけると、地図アプリが起動して周辺の渋滞情報を知らせたり、「妻に『30分遅刻する』とメールして」と言えば、自動的にテキストメッセージが送信されたりする。米アップルのウェブサイトでは真っ先に取り上げられている機能だが、アップルジャパンのサイトには説明が見当たらない。