「村上ファンド」系の「エフィッシモ」が撤退
こうしたなか、かつての「村上ファンド」系の「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」がともに大株主で、東証2部上場の立飛企業と新立川航空機は8月末、両社経営陣共同のMBOを実施すると発表し、エフィッシモが撤退することになった。変わった名前の会社だが、両社とも東京都立川市近辺で不動産業を営む元は同根企業。立飛企業はMBO発表前の株価を57%、 新立川は104も上回るMBO価格を設定し、エフィッシモに「売り抜け益」を得て去ってもらうことに成功した。
また、景気低迷でどちらかと言うと「金余り」の状況が続く中、上場しているようなある程度信用力のある会社なら、 金融機関からの借り入れコストも高くない。半面、株価が沈む市場で資金調達というメリットは大きくない。こうした面でもMBOに進む環境は整っているといえる。
MBO人気の中、証券会社はMBOの助言ビジネスに焦点を当てており、「水面下で検討しそうな企業に打診を始めた」(大手)という。買収資金を貸し付ける銀行にとっても 手っ取り早いビジネスだ。ただ、新規上場社数の低迷が続く中でのMBO= 株式市場からの退場の増加とあって「このままでは東京市場が廃れてしまう」と危惧する声も上がり始めている。