「過去の宿題」を持ち出してきただけで、新規方針でも何でもない
そもそも現在、都心3区には宿舎が何か所あるのだろうか。不思議と2011年10月4日付朝刊の全国紙には、都心3区の全体の宿舎箇所数は触れられていない。
もっとも、06年の「移転・配置計画」の資料について、今回の財務相発表とこうして単純比較をして良いものかどうか、はっきりしない部分もある。
財務省の本省と関東財務局に確認の電話をしてみたが、どちらも「担当者が忙しく、本日中の回答は難しい」とのことだった。
高橋教授に聞いてみた。高橋教授は、「2006年の骨太方針の二番煎じで、野田首相や安住財務相が満足しているのは滑稽だ」と話した。
安住財務相の発表の「文脈」は、朝霞宿舎の凍結だけでなく、「16か所廃止・売却まで踏み込んで対策を進めます」というものだ。しかし、その「対策」が、実は「ほとんどがやり残しの宿題」だとしたら、「こんな人を馬鹿にした話はない」というわけだ。
高橋教授は、「ここまで財務省から小馬鹿にされても反論できないのか、それとも勉強不足で知らないだけなのか」と安住財務相らを批判した。
そもそも先進国で国有公務員宿舎をもっている国はほとんどなく、民間へ売却した上で借り上げた方が安上がりだ、とも高橋教授は指摘している。