安住淳・財務相が2011年10月3日、都心3区(千代田、中央、港)にある国家公務員宿舎の16か所廃止・売却方針を表明した。朝霞宿舎の凍結問題を受け一層の改革姿勢をアピールする動きだ。朝日新聞は「攻勢に打って出た(のは安住氏だ)」と持ち上げた。
しかし、小泉純一郎首相時代の小泉改革に内閣参事官などとしてかかわった財務省OBで、現在は嘉悦大教授の高橋洋一氏は、都心3区の危機管理担当職員宿舎などをのぞく宿舎の廃止・売却方針について、「小泉改革の時に基本的には決まっていた『お古』の話」「(野田政権は)財務省から小馬鹿にされている」とツイッターなどで指摘している。
「危機管理担当」のぞく16か所を廃止・売却
高橋教授によると、都心3区の宿舎廃止・売却の話の大枠は、「私が関わった『骨太の方針2006』に書いている」という。2006年に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)に付随する計画書で指摘されていたそうだ。
財務省のサイトで資料検索すると、2006年にまとめられた有識者会議報告書に「東京23区内の国家公務員宿舎 移転・再配置計画」があった。
同計画によると、2006年1月現在、都心3区(千代田、中央、港)には33宿舎(1782戸)あった。これを10年3月には17宿舎(1531戸)へ、17年3月には12宿舎(1215戸)へ減らす計画が表として示されている。
また、同報告書の別のページでは、都心3区にある危機管理用など「移転困難」な宿舎が12宿舎あると指摘している。2017年までには、移転困難な12宿舎以外は全廃することになっていたということになる。
仮に2006年の計画通り10年3月までに17か所に減っていれば、今回の方針通り16か所を廃止・売却すれば、残る「危機管理担当職員宿舎」は1か所だけという計算になるが、どうもそういう訳でもなさそうだ。