家族4人年収2万2314ドル以下が増える
実際に、米国内での格差は広がっている。米国では、家族4人で年収2万2314ドル(171万円)以下、または単身で1万1139ドル(約85万円)以下の層を「貧困層」と定義しているが、9月13日に発表された国勢調査の結果によると、10年の貧困者の数は前年より260万人多い4620万人で、統計を初めて公表した1959年以降最悪を記録した。人口に占める割合(貧困率)は前年比0.8ポイント増の15.1%で、93年以来最悪となった。また、世帯年収を物価上昇分を調整した上で比較すると、中間層は最近30年間で11%しか増えていないのに対して、人口の5%を占めるに過ぎない富裕層の世帯年収は42%も増加している。
失業率も改善の見通しが見えない。国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」(World Economic Outlook、WEO)によると、先進諸国の2010年の失業率は8.3%だが、米国はそれを上回る9.6%。米国の失業率は08年には5.8%にとどまっていたが、同年秋のリーマン・ショックを機に急上昇している。現時点では世界経済は回復基調だとみられているが、11年の失業率は9.1%、12年は9.0%だと見込まれており、劇的な改善は望めない状況だ。さらに、深刻さを増しているギリシャの財政危機の影響で、世界的に失業率が悪化に転じる可能性もある。
なお、このWEOによると、10年の各国の失業率は、欧州が10.1%、日本が5.1%、カナダが8.9%。先進諸国の中では、日本の失業率は比較的低いとされている。