本来は「スピードを持った強打者」
200安打という記録は1番打者ゆえのものといっていい。打席数がもっとも多いし、投手は勝負してくる。イチローはチャンスメーカーだから、とにかく主軸打者のためのお膳立てを求められてきた。
その役目はもう卒業していい。その根拠として注目したいのは内野安打の激減である。昨年の66本から42本と3分の2に。その差が記録にピリオドを打つ原因となった。
イチローは自由にバッティングさせれば、長打も打てる。本塁打も20本ぐらいは可能である。引っ張ってよし、流してよし、セーフティーバントやヒットエンドランもOK、という打撃ができるから、走者を置いた打席は、相手にとって脅威だろう。さらに今季40盗塁という足もある。本来の「スピードを持った強打者」ぶりを発揮できるはずである。
38歳の曲がり角である。これからは打点に重きを置く主軸バッターとして期待したい。「なんでもできる3番打者」という新しい分野を開拓し、さらなる刺激を大リーグに与えることができれば、と思う。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)