民主党代表選で鹿野農相に支援受けたことが足かせ
だが、与党、政府内の意思統一は容易ではない。TPP推進派の前原誠司・民主党政調会長は首脳会談を受け、党内にプロジェクトチーム(PT)を 設置して検討を急ぐ意向を示した。しかし、超党派の「TPPを慎重に考える会」の山田正彦会長(前農相)らは9月22日、輿石東民主党幹事長に慎重な対応を申し入れ、幹事長も「(影響は)農業だけじゃない。首相にも慎重にと伝える」と応じた。
政権内も意見はまとまっていない。枝野幸男経済産業相は「できるだけ早く国内の合意を得て参加することが望ましい」(23日、シンガポールで)と積極姿勢を示すが、鹿野道彦農相は「いつまでと期限を今の段階で切るのは難しい」(20日の会見)と、慎重姿勢を崩していない。
野田首相が民主党代表選の決選投票で鹿野農相に支援を受けたことから、「鹿野氏の意向を尊重せざるを得ない」と見る関係者も少なくない。また、農業団体との交渉 窓口役とも期待された農水族の鉢呂吉雄前経産相が不適切発言で辞任に追い込まれたのは、TPP推進派には痛手との指摘もある。
国内の利害対立と日米関係が複雑に絡んだ多元方程式をどう解いていくか、野田政権に重い課題としてのしかかる。