群馬まで伸びた「セシウムの帯」 コメや野菜は大丈夫、と産地は強調

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検査の実施と結果公表が「最善の策」

   文科省による航空モニタリングでは、ヘリコプターに搭載した大型の放射線検出器を使って地上150~300メートルの高さから計測している。その値は、「航空機下部の直径約300~600メートルの円内の測定値を平均化したもの」だ。一方、群馬県では国と協力して、これまでに県内13か所での放射性物質の土壌検査を実施。県技術支援課によると、4月の段階で最も高かった場所で土壌1キロあたり674ベクレルだったという。しかし、農林水産省は、コメの作付けに際して1キロあたり5000ベクレル以下であれば作付けを認めており、検査結果は基準を大幅に下回っている。コメ以外は国として明確な基準を定めていないものの、「参考値」として農水省が示す野菜や果樹の作付け可能な値と比べても「問題のないレベル」(技術支援課)。県は現在も検査を続けているが、「ここ最近は『検出せず』がほとんど」と強調する。

   とはいえ、「セシウムの帯」が群馬にまで流れている事実が公表された以上、農産物の生産地としては気が気でないはずだ。農業生産に力を入れている北部の川場村は、秋以降にコンニャクやリンゴが収穫時期を迎える。村役場の広報担当に聞くと、「県や公的機関に協力を得て農産物の放射性物質検査を実施しているが、今後も同様に検査内容を開示して、結果に応じて判断していく」と話す。航空モニタリングでは、村の一部でセシウムの蓄積量が多いとの結果だったが、村の総面積の約85%が山林にあたるため、「村中を除染するといっても現実的には難しい」(広報)。そのため、これまでどおり放射性物質の計測を頻繁に実施して情報を明らかにして、生産者と消費者に安心してもらうことが最善の策と考えている。

   県西部に位置する下仁田町では、ネギが特産品ということもあり、県の検査に加えて町独自でも検査を実施している。ネギを栽培している地域から3か所を選び出して、その結果をウェブサイトに公表。放射性セシウムは検出されなかったと、下仁田町農林建設課の担当者は話す。

   今のところ目立った被害は出ていないようだが、川場村と下仁田町いずれの自治体も「風評被害が出ないように」と気を引き締める。

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