弁護士「やってないなら逃げるべきではない」
そのため、多くのマニュアルでは現行犯逮捕を防ぐことが第一となっている。それによると、法律では、自分の身分を明らかにすれば痴漢の現行犯逮捕は認められないことになっているとし、まず、免許証や名刺を提示。後日、弁護士を同伴して無実を訴えに警察に出向くなどとしている。
そしてもう一つよくあるのが「走って逃げる」という方法だ。痴漢に疑われた場合、無実を証明するのは時間と手間がかかる。走ってその場から逃げるのが、一番の得策というわけだ。
しかし、弁護士の落合洋司氏は「逃げると、捕まったときに、やってないならなんで逃げるんだということで、やったと強く推測させてしまう。やってないなら逃げるべきではない」と指摘。
さらに、こうアドバイスする。
「身分を明らかにしても、ケースバイケースで罪証隠滅の恐れがあるなどと判断されれば現行犯逮捕されることがあります。とにかく、早く弁護士に連絡することです。弁護士会に連絡すれば弁護士を紹介してくれますし、警察に逮捕されれば当番弁護士制度を使うこともできます。目撃者を確保することも重要です」
また、ネット上では「逮捕されたら終わり」というのが当たり前になっているがそれも違うという。
「逮捕されても、警察で48時間以内に釈放されたり、検察に事件が行ったとしても、嫌疑不十分で24時間以内に釈放される可能性があります。2000年代前半に痴漢えん罪が問題になってから、ここ数年は捜査もきめ細かくなっていて、女性の服の繊維が男性の手に付いていないかといった客観的な捜査もするようになってます。証拠が出ずに、やったやらないの水掛け論になると、不起訴になるというケースも多くなっています。逃げるというのは自己責任ですが、かなりリスキー。お勧めはしません」