「ゆっくり動くジェットコースター」の感覚
背面に近い状態で30秒間急降下したと聞くと、当時の機内の様子が気になる。ある航空会社の元副操縦士は、けが人がこれまで客室乗務員の2人だけにとどまっている事実に触れて、「ゆっくり動くジェットコースターに乗っていた感覚だったのでは」と当時の状況を推測する。先述の前根氏も今回のケースを、ジェットコースターに乗っていて、遠心力により座席に押しつけられるような力が働いている状況に例えて説明した。夜遅くのフライトだったため、着席してシートベルトを締めていた乗客が多かったのも幸いした。
全日空広報室に取材すると、今回のトラブルについて謝罪したのち、原因の究明については「運輸安全委員会に協力しながら、現在調査中」と回答した。また、急降下がさらに続いていたら重大な事故につながっていたかもしれないとの専門家の指摘については、「制限値を超えてしまったことは誠に申し訳ない」とする一方で、「機体は、仮に3Gを超えたとしても耐えられる設計になっている」と説明。ただし「音速を超えたら機体が空中分解する可能性」については、現段階ではそこまでの分析をしていないのか、指摘内容について「特に意見はありません」とのことだった。