平岡秀夫法相(57)が、「親分」のイラ菅(菅直人・前首相)もびっくりの激怒ぶりを国会で見せた。経歴をみると、旧大蔵省出身で弁護士登録もしているエリートなのだが、こんなに短気で、死刑執行も預かる大臣として大丈夫なのだろうか、と不安の声も上がりそうだ。
平岡法相(山口2区、衆院5期、菅グループ)が答弁で声を荒げ、新聞各紙が「(法相が)激高した」と報じたのは、2011年9月27日にあった衆院予算委員会での答弁だ。
声は張り上げすぎて裏返り気味で、顔も怒りでゆがむ
予算委では自民党の河井克行・元法務副大臣が、平岡法相の地元にある米軍岩国基地をめぐる法相発言を質問で取り上げた。
平岡法相は9月17日、地元の会見で、2006年の日米合意事項である、米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機の岩国基地への移駐について、「個人的には反対」と発言した。河井氏はこの発言について、「閣内不統一」だと追及した。
平岡法相が激高したのは、河井氏への4回目の答弁のときだ。河井氏の質問開始から12分ほどが経過していた。
平岡法相は、最初は両手を背中の後ろに回し、落ち着いた調子で話し始めたものの、ほどなく両手は前に。自公政権時代(2007年度予算)に岩国市役所の庁舎建設の「補助金45億円を無理やりカットした」という指摘をしながら、だんだん興奮してきたようだ。
ちなみに、正しくは「カット」分は35億円。結局は「反対派」市長の交代もあり、ほどなく予算化された。
「そんな暴挙に出たのは、いったいどちらの政権だったでしょうか!」。このとき、平岡法相の声は張り上げすぎて裏返り気味で、顔も怒りでゆがんでいた。人気バラエティ番組「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)の激怒キャラ、北村晴男弁護士が、眼鏡をはずした上でキレている姿を想像すると、けっこう似ているかもしれない。
平岡法相はさらに、「そういう経緯を考えて…」と続け、右手を少し上げ、河井氏の方へ向けた。威嚇しているようにみえなくもない。
過去にはバラエティ番組発言で「炎上」
野党席からはさっそく、「なんだそりゃ?」「陳謝だ、陳謝!」と野次が渦巻いた。さすがにまずい、と思ったのか中井洽委員長が、「答弁をもう1度やり直して下さい。大臣ですから」と促した。
平岡法相が前の答弁を終えてから40秒ほどざわついた後、法相は再答弁に立ち、落ち着いた調子で「質問された以外の部分は撤回致します」と応じた。
平岡法相は、民主党の中堅・若手でつくる「リベラルの会」の代表世話人だ。憲法9条堅持を訴え、護憲色の強い議員として知られる。また、「頑固者」としても名高いそうだ。国政初当選の前、1999年の岩国市長選で落選した経験もある。
平岡法相といえば、かつてテレビ番組での発言がネット上で物議をかもしたことがある。
平岡氏は2007年6月、バラエティ番組「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」(日本テレビ系、レギュラー枠は終了)に当時野党だった民主党の「ネクスト法務大臣」として参加した。
番組では、罪を犯した少年の厳罰化がテーマの「少年法を廃止」をめぐり、さまざまなゲストが意見を述べた。
平岡氏は、少年2人に息子が暴行され殺害された出演被害女性に触れつつ、「悪いことをした子ども達は、それなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけど…」などと発言した。
地元では激高に「驚かない」
この発言に対し、「被害者の母親がかわいそうだ」といった反発がネット上で相次ぐなどしたため、平岡氏は自身のサイトで「お詫び」し、「『バラエティー番組だから』という私の気の緩みがあったと反省し、(略)」などと書いた。
平岡氏の今回の予算委での言動について、ネット上では「よく言った。おかしいのは自民党だ」と擁護の声もあったが、「罷免すべきだ」という反応も少なくなかった。
平岡氏の地元(岩国市など山口2区内)のある市政関係者によると、「平岡氏の激高」姿は、「見ても驚かない」。今回の激高騒動についても、「まあ、あんな感じの人ですけどね」と特に問題視する気はなさそうだ。
仮に今回のようなブチ切れ答弁が今後も続くようでは、平岡法相は、野田内閣の地雷原になる可能性もありそうだ。