「疲れが取れる」などとしてスポーツ選手やサラリーマンに愛用者が多い「ニンニク注射」だが、意外にも医師からは「食べて寝ていればよい」などと、必ずしも肯定的な声は多くない様子だ。このほど、Q&Aサイトが医師に100人に対して行ったアンケートで、こんな結果が明らかになった。
アンケートによると、世間では注目されている健康法の中にも、医師からは効果を疑問視するものが多い。かえって悪影響を指摘する声すら上がっている。
清原や朝青龍も愛用
ニンニク注射が話題になりだしたのは、00年代初頭。ビタミンB1を中心に、ビタミンB2、B6などを配合。ビタミンB1は、疲労した時に体内にたまる乳酸を分解するのに役立つと考えられている。注射の中にニンニクが含まれているわけではなく、ビタミンB1が鼻の粘膜に達したときに硫黄のような臭いがすることから、「ニンニク注射」の名前が付いた。「ニンニク注射」は、特定の製品名ではなく、使用している病院ごとにビタミン剤の調合を変えるなどして、効き目の違いをアピール。健康保険はきかない。利用者からは「疲れが取れた」との体験談も多く、著名人では元巨人の清原和博選手や、元横綱の朝青龍関が愛用者として知られている。
ところが、医師の受け止め方は若干違うようで、やや冷ややかだ。医師に相談できるQ&Aサイト「アスクドクターズ」が2011年、医師100人に対して
「先生のご家族や親しいご友人がにんにく注射を望んだ場合、賛成しますか?」
とアンケートを行ったところ、「強く賛成」または「賛成」と回答した人は全体の20%なのに対して、「反対」「強く反対」と答えた人に割合は59%にのぼった。
ニンニク注射に肯定的な意見としては
「きちんとした製剤で水溶性ビタミン複合剤なら可」
「あまり害はないと思う」
「自分で行っている」
と、ある程度の効果を認めるものが多い。一方、否定的なものとしては
「不必要な処置だから」
「食べて寝ていればよい」
「毒ではないが効果不明、食べればよい」
といったものがあった。積極的に否定するというよりは、効能を疑問視する、または「わざわざ、そこまでする必要はない」といった人が多いようだ。