「中長期的には金の上昇余地はまだある」
こうした世界的な金価格の急落を、「リーマン・ショック時の状況と似ている」と指摘する向きがある。前出の嶌峰氏は、金急落の背景でリーマン・ショック当時と似ている点として、リスクを回避しようとする資金が株式や債券ばかりか金にまで波及したことと、ドルが(対円などの一部の通貨を除いて)上昇したことをあげている。
ただ、リーマン・ショック当時と比べて、「投資家も(リーマン・ショックの)経験を生かして対応している。また、当時は金融機関が相次いで破たんした影響が大きかった」(TOCOM)と、状況の違いもあるという。
嶌峰氏は、「金価格はしばらく上下に振れやすい相場が続くだろうが、先進国の金融緩和措置が当面続くことから、再び金に資金が集まると思われ、中長期的には金の上昇余地はまだある」とみている。