「合法であればいいだろう」という風潮
それにしても、帳簿上で売上高半減となれば「グルーポンの会計は大丈夫か」と見られないだろうか。国際金融アナリストの枝川二郎氏は、「米企業、特にベンチャーの場合は少しでも好業績に見せようと、ギリギリのところまで(数字を)引き上げようとするケースはある」と話す。「合法であればいいだろう」という風潮が見られるようだ。
今回のグルーポンのケースは、架空の金額を売上高に加えるような粉飾決算ではない。SECとの間で「売上高」について、会計上どう取り扱うか考え方の違いが生じていたのではないかと枝川氏は推測する。非上場のままであれば世間一般に対する責任は薄いため、ある程度の「グレーゾーン」は許されたかもしれない。しかし株式を上場するとなれば責任の度合いは一気に増すため、SECがあらかじめ「危うさ」の排除に乗り出したとも思える。
結果的に売上高が半減したことで、グルーポンに影響はあるのか。枝川氏は、一般的な米国の企業に対する評価として、「売り上げ至上主義ではなく、利益をどれだけ上げたかを重視する」と説明する。そのため、実は売上高を「かさ上げ」してもそれほど意味はなく、逆に目減りするからといって悪影響はあまりなさそうだ。急成長を続けるグルーポンは、創業して3年に満たない。少しでも「背伸び」をしようとスレスレのところで売上高を大きく見せたのだろうか。
だが、WSJは売上高の「下方修正」よりも、実は会員数の変動が公表されていない点が心配だとしている。WSJの分析によると、会員1人当たりから得た売上額は、2009年のピーク時と比べて2011年には3分の1以下に減少。また新規会員1人を獲得する費用は、逆に倍増しているというのだ。記事では「実際に会員を得るコストが増大したのか、それとも以前よりずっと多くの新規顧客を加えたものの、同時に既存客を失っているために費用がアップしたのか」と疑問を投げかけたが、詳細は不明なままだ。