韓国IBMが新入社員の採用に当たり、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーなど「性的マイノリティー」を優遇する方針、と東亜日報が2011年9月24日付けの記事で報じている。
性的マイノリティーを採用で差別しないという企業は多いが、積極的に採用するため、優遇するというのは異例だ。
グローバル企業でも初の試み
記事によると、韓国IBMは新入社員採用広告用のポータルサイトで「書類選考時、性的マイノリティー(GLBT)に加点の特典を与えます」ということを明らかにした。理由は「組織構成員が多様になればなるほど、生産性がさらに高くなる」から。「性的少数派の他にも社員を採用する時、いつも多様性を重要視するのがIBMの採用哲学だ」という。グローバル企業のIBM内でも初の試みらしい。
加点というと特別扱いが過ぎる気もするが、これは「社会的に自分の性アイデンティティーを公開するのが、韓国ではまだ勇気が要るので」ということらしい。
事実、韓国では性的マイノリティーは差別される場合が多いという意見がネット上に多く見られる。2000年に韓国芸能人で初めて同性愛者であることをカミングアウトしたタレントのホン・ソクチョンさんは、当時出演中だったすべてのテレビ番組を降板させられたということもあったようだ。
「さりげなくセクシャルマイノリティーを馬鹿にしてる」?
韓国IBMのこの方針を知って、インターネット掲示板「2ちゃんねる」では
「俺も会社の採用権利あったらゲイつかいたいな。アイディアとかセンスとかがんばり方が違う」
という賛同意見も見られるが、
「さりげなくセクシャルマイノリティを馬鹿にしてんだろ… ゲイやビアンを哀れみの目で見て、こういうアピールで企業のイメージアップを狙う」
「完全シャットアウトのための餌だろ」
「なにこの逆差別」
など、批判や懐疑的な意見も多い。
ちなみに日本IBM広報によると、日本のIBMでは採用の際に性的マイノリティーを優遇する措置を取る予定は今のところないという。ただし、そうした社員が不利益を受けず、気兼ねなく働けるような職場環境を作るため2008年には社員の多様性を尊重する「ダイバーシティ委員会」を設置。その中に「セクシャル・オリエンテーション部門」を設け、性的マイノリティーの人々が担当役員に直接悩みを相談できるようにしているという。