セ・リーグ新人王は巨人・沢村が「当確」へ 負け数の多さも「プラス」要素?

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2ケタ敗戦は監督の信頼示すバロメーター

   沢村は好条件がそろっている。まず、巨人で開幕からきっちりローテーションを守って投げており、左腕の内海と並ぶ右のエース格。しかも防御率が2点台で、四球が少ないので安定感がある。これらは有効な材料となる。

   それと意外な力を発揮するのは負け数。すでに2ケタも負けているからマイナスと思われるが、実は違う。勝負にかかわる試合に投げているから生まれる数字であり、監督の信用度を表すバロメーターなのだ。

   過去、敗戦数が勝利数を上回った新人王は少なくない。1961年の徳久利明(近鉄)は15勝24敗、71年の関本四十四(巨人)は10勝11敗、77年の斉藤明夫(大洋)も8勝9敗。最近では2002年の正田樹(日本ハム)が9勝11敗。ローテーション投手の敗戦は勝利に次ぐプラスポイントなのである。

   新人王のタイトルは記者投票で行われる。この投票も沢村にとって有利になっている。巨人が本拠地を置く東京は記者が多く、いわば「大票田」。人気チームだけにかなりの数の記者が沢村のピッチングを見たり、取材する機会を持つ。

   一方の福井が所属する広島は記者数が少ない。登板数の6割が地元。これは遠征先の記者がどのくらい見ているかというと心もとない。今後、競ったときに、微妙に影響してくるだろう。

   まだ20試合ほど残っており、微妙な面もあるが、この二人以外ではヤクルトの久古健太郎(日本製紙石巻、ドラフト5位)、阪神の榎田大樹(東京ガス、ドラフト1位)が面白い。ともに中継ぎでホールドポイントを稼いでいる。久古は優勝まっしぐらのチームを支え、榎田はチームが巨人を4位に蹴落としてクライマックスシリーズに出場すればチャンス到来である。関西も投票者数は多い。新人王争いもいよいよ佳境を迎える。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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