「早稲田にとって医学部創設は悲願」。早大総長だった奥島孝康氏が11年前に会見で語った言葉だ。それが今、茨城県で新設に向けた動きがあるというのだ。
「早大医学部」新設誘致の動きは、2011年9月20日までに一部メディアで報じられた。
橋本昌知事が早大に書簡を送りアピール
それによると、早大出身のあるベテラン県議がパイプ役になって、茨城県で早大OBらを中心に誘致活動が始まった。新設地としては、都心から特急電車を使えば1時間強で行ける笠間市の県畜産試験場跡地(約35ヘクタール)が候補に挙がった。知事選で医科大学誘致を掲げた橋本昌知事も賛同し、6月下旬には早大側にラブコールの書簡を送るまでになった。
さらに、県内で8月に開かれたOB会の支部総会にも橋本知事が訪れ、再び誘致をアピールしたというのだ。医学部誘致の理由として、全国でワースト2にも入った医師不足の問題があるとしている。
早大関係者も興味を示し、すでに現地を視察。10月にも視察が予定されているという。
医学部の新設は、1981年に琉球大であってからは、30年間もない。当初は医師が過剰になると予測され、その後も医師会の反対などで実現しなかったとされている。
それが、最近の医師不足もあって、状況が変わってきたというのだ。
民主党は、10年夏の参院選マニフェストで医師を1.5倍に増やすとうたった。文科省もこの年12月に、新設も視野に入れた「医学部入学定員のあり方に関する検討会」を立ち上げている。文科省の医学教育課によると、医学部新設の要望は、茨城県のほか、静岡県や新潟県からも出ており、報道でも、各地のいくつかの大学は医学部新設を検討しているとされている。
こうした動きの中で、いよいよ早大の悲願が実現しそうなのか。