バターが2011年10月から一斉に値上げされる。乳業大手の明治や森永乳業、雪印メグミルクは、それぞれ1.2%から1.4%値上げする。雪印はチーズ類も最大5.3%値上げする。
値上げの理由は、夏の猛暑と東京電力・福島第一原子力発電所事故の影響で、一部地域の生乳が出荷停止となっているため原料価格が上昇した。バターは朝食のトーストやパンケーキ、またお菓子づくりなどに欠かせないだけに、家計には頭が痛いところだ。
バターの代替え「マーガリン」の新商品
明治は10月1日の出荷分から、「明治 北海道バター」(200グラム)の希望小売価格を、現在の365円から370円に、「明治 北海道バター食塩不使用」(同)は400円から405円に値上げする。値上げは2009年6月以来、2年4か月ぶりのことだ。
雪印メグミルクも10月1日の出荷分から、家庭用バターやチーズ計9品を1.2~5.3%値上げする。「雪印 北海道バター」(同)は365円から370円に、「雪印 北海道バター食塩不使用」は405円から410円に値上げしたほか、「雪印北海道 さけるチーズ」(60グラム)はプレーン、スモーク、とうがらし味が190円から200円に値上げする。
一方で、「まるでバターのようなマーガリン」など25品を発表。バターの味わいに近づけながらも、生乳を使わない料理用のマーガリン(263円)と、パンに塗る「やわらかソフト」(189円)を9月1日に発売。バターの代替需要として売上げ増を狙う。
森永乳業は、10月21日の出荷分から。家庭用バター「森永北海道バター」(200グラム)が現行の360円から365円に値上げになる。
毎年の猛暑で乳牛が減った
じつは、国内の「バター不足」は2007年ごろから恒常的になってきている。スーパーなどでも特売品からはずされたり、一人あたりの購入本数を制限したり、在庫切れによる販売中止が生じた。また、食塩不使用のバターは洋菓子に使われているケースが多く、ケーキが値上げされるなどの影響もあった。
原因は、原材料となる生乳の生産量の減少。これは2006年から生産調整で乳牛が削減しているのに加えて、猛暑によって生産が減少したためだ。乳牛は夏に受精して翌春に出産。その後搾乳がはじまるが、猛暑で牛の体調がすぐれないことや、受精時期が遅れて搾乳できる牛の頭数が減ってしまうことがある。
つまり、今年の生乳不足は昨夏の猛暑が影響したもの。これに原発事故が追い討ちをかけたわけだ。