資金がなかったため、割り当て分の食糧調達に失敗
また、9月17日にTBSの「報道特集」で放送された、「アジアプレス」の北朝鮮人カメラマンが11年夏に撮影したという映像では、中西部の平安南道で腹を押さえて座り込む、やせこけた朝鮮人民軍の兵士の姿がとらえられている。金正日総書記は、国中の資源を軍に振り向ける「先軍政治」を行っており、軍には優先的に食糧が割り当てられることになっている。これが金正日体制を支えているとも言えるが、それすら満足に行えなくなっていることが浮き彫りになった形だ。
金正日総書記が8月末にロシアを訪問する直前、ロシアが食糧5万トンの無償援助を行ったものの、前出のFAOの声明によると、100万トンの食糧が不足するとみられており、劇的な改善は望めない状況だ。また、聯合ニュースが9月15日に消息筋の話として伝えたところによると、中国で食糧調達を命じられていた貿易相次官と参事が、契約に必要な数百万ドルの資金がなかったため、割り当て分の調達に失敗。北朝鮮当局に身柄を拘束され、2人以外にも局長クラス7人が更迭されたという。食糧不足に外貨不足が追い打ちをかけた形で、北朝鮮当局が打つことが出来る手が、少しずつ少なくなりつつある。