人民軍の兵士でさえガリガリ 北朝鮮に空前の大飢饉やってきた

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   金日成主席の誕生100年と金正日総書記の誕生70周年が重なる2012年を「強盛大国」元年と位置づける北朝鮮で、逆に窮乏ぶりが際だつ出来事が相次いでいる。平壌市内でも、この夏の台風や水害で食糧事情が悪化。あまり被害を受けていない地域でも「例年は収穫が始まっているはずだが、始まっていない」という報道もある。また、優先的に食糧を供給されているはずの朝鮮人民軍の兵士でさえガリガリにやせている様子が確認されている。

   金正恩氏への体制移行には軍の掌握が不可欠だが、現状では、それすらおぼつかない状態だ。

   北朝鮮は6月下旬から7月下旬、台風5号と豪雨で大きな被害を受けた。その上、復旧活動中の7月末も洪水が発生し、さらに被害が拡大。2011年8月1日に朝鮮中央通信が報じたところによると、数十人が死亡、負傷、または行方不明になり、住宅2900棟以上が失われ、約8000人が避難生活を余儀なくされている。

子どもの3人に1人が、ひどい栄養失調状態

   また、約6万ヘクタールの農地が冠水するなどの被害を受けたという。これを受け、崔永林(チェ・ヨンリム)首相が、被害が大きかった南西部の黄海南道(ファンヘナムド)を視察。北朝鮮要人の被災地視察を公式メディアが報じるのは異例だ。

   その惨状は、国連の世界食糧計画(WFP)が8月中旬に現地で撮影したビデオでも伝えられている。トウモロコシ畑に囲まれた保育園では、4歳児が栄養不足で立ち上がれなくなっているほか、海州(ヘジュ)小児科病院では、やせ細った子どもが手当を受ける様子が映し出されている。同病院では、栄養失調で入院する子どもが50%も増加。また、飲み水が汚染され、下痢や皮膚病が多発しているという。

   黄海南道の青丹(チョンダン)郡では、水害でコメの収穫の6割が失われたといい、北朝鮮全体では5歳未満の子どもの3人に1人が、ひどい栄養失調状態にあるとみられている。国連食糧農業機関(FAO)が9月15日に発表した声明によると、北朝鮮では600万人以上が緊急支援を必要だという。

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