公務員制度改革を提唱するなど改革派官僚として知られる経済産業省の古賀茂明氏(56歳、大臣官房付)が、一旦は示していた辞職の意向を撤回した。
古賀氏は2011年9月16日夜、自身のツイッターで「枝野(経産相)さんは私の人事については自分の仕事でないと言ったそうです。辞表を撤回して再度大臣としての判断を求めることにしました」と書き込んだ。
枝野経産相「事務方の皆さんにお任せする」
この辞表撤回宣言は、枝野幸男・経産相が9月16日の記者会見で、古賀氏の処遇について、「事務次官以下、事務方のしかるべき皆さんにお任せする」と話したことを受けたものだ。
9月に入って就任したばかりの枝野経産相に対し、古賀氏は、「(自分に)仕事は与えられるのか。仕事がないなら辞めるしかない」という趣旨のメールを送っていた。
古賀氏は、9月15日になって事務方の上司から退職手続きに入るように言われたことを受け、9月末で辞職する意向を示していた。枝野経産相の意向を受けた措置、と受け止めたようだ。
しかし、枝野経産相の16日会見発言で、古賀氏に退職を求めたのは、大臣判断ではなく、事務方判断だったことが判明した形だ。そこで古賀氏は今回、あくまで大臣の判断を求める考えを示したわけだ。
「枝野大臣のお気持ちがまだよく分からないところがある」
古賀氏はツイッターへの書き込み後の16日夜、報道番組「報道ステーション」(テレビ朝日系)に生出演した。
番組冒頭、キャスターの古舘伊知郎氏が進退について質問すると、古賀氏は「仕事がなければ、いてもしょうがない。今はそういう方向でお話をしていますが、枝野大臣のお気持ちがまだよく分からないところがあるので」と話すにとどめた。
番組内で、古舘氏が「辞める可能性が高くなったとして、今後辞めたら、政治家になるようなことはあるか」と切り込むと、古賀氏は「辞めたら、改革のための仕事をしたいと思っていた。公務員でできないのであれば、外に出る。改革をしたいという人はたくさんいます。そういう方々をサポートしながら協力して、日本に改革の波を作っていければ」と答えた。
古賀氏は、本来は異動待機ポストとされる「官房付」に2009年末から異例の長さでとどめ置かれている。具体的な仕事はほとんど与えられていないという。古賀氏の公務員制度改革への姿勢などに主流派官僚らが反発していることが背景にあるとみられている。
古賀氏は、7月段階での勧奨退職を当時の事務次官から求められた際は、これに応じない考えを示していた。