フェイスブックで謎の美女軍団によるトラップ(わな)が多発しているようだ。中には、韓流アイドルグループ「少女時代」のメンバー写真を悪用したケースもあるという。
どうやらだれかが「美女」になりすまし、フェイスブックの中で男友達をどんどん増やそうとしているらしい。だれがなぜ、そんなことをしているのか。
セミナーなどへの勧誘が目的か
ITマーケティング会社を経営する永江一石さんのブログ「More Access,More Fun!」によると、彼女たちに共通するのは、プロフィールの写真が美しいこと。そして友達リストが多いことだ。その数は、なんと2000~4000人というから驚く。
フェイスブックは実名が原則。美女たちは有名女子大卒、時にはギャル系雑誌のモデルなどと経歴を書いており、自ら次々に新たな男性を友達として申請していた。
何のために、こんなに男友達を増やしているのか。
永江さんは、その多くが、ネットでの商品購入や様々なセミナーに勧誘するためではないかとみる。中には、出会い系業者がらみもあるようだという。
実態を調べようと、フェイスブック内では、「FB美人調査隊」というページを開設するユーザーが現れた。永江さんも、2011年9月8日から加わった。
そこでの調べなどによると、有名私大卒の女性を名乗るある女性ユーザーは、「少女時代」のメンバー、ユナさん(21)の写真を、自分の顔写真としていた。このユーザーの友達リストは、5000人近くにも達していた。ページ内で「現在は、新しい仕事を探しながら、色々なセミナーに出たりしています」と自己紹介しており、そうしたセミナーに男性らを誘っていた可能性がある。
この女性は、好きな音楽に「少女時代」を挙げていたが、メンバーの写真が盗用されていることに気づかない男性が多かったようだ。
「大事なのは、知らない人の申請を受けないこと」
FB美人調査隊の調べなどによると、美女軍団は、お互いが友達リストに入っており、だれかが新たに男性と友達になると、次々に仲間がこの男性を友達申請していた。男性らは、これらの申請を「美人ですね」「芸能界からスカウトされるんじゃないですか」などと喜んで受けていた。
中国や台湾の女優らの写真を悪用、ツイッターで誘ってフェイスブックに呼び込むケースもあるようだ。中には、日本のアイドルグループ「SKL39」メンバー、戸室穂美さん(22)の写真もあった。
台湾のアイドル写真が使われたケースでは、実際に、「PCを使って自宅で50万円稼ぐ!」といったセミナーの案内が来ていたことが報告されている。やはり、何らかの「勧誘」が目的のようだ。
ブログを書いた永江一石さんは、友達申請の連鎖から、フェイスブックユーザーの1割が汚染されてしまったのではないか、と推測している。
永石さんのブログには、500以上のはてなブックマークが付いており、「実名登録にあんなに厳しいFacebookなのに、偽装アカウントは作り放題」といったコメントが支持を集めている。
米フェイスブックの日本での広報をしているビルコムでは、取材に対し、美女軍団については把握していないとしたうえで、こう説明する。
「フェイスブックにはスパム的な動き、アカウントがあった場合、ユーザーが怪しいと報告できる機能があります。また、すごい数の友達申請などありえない動きについては、ブロックやアカウント閉鎖、警告などをするプログラムをシステムに組んでいます。まず大事なのは、知らない人の申請を受けない基本的な使い方をすることです」