NHKの番組ネット配信に反対  民放連主張の根拠「意味不明」

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「自らの利益を守ろうとする要素強く利用者の目線が欠如」

   ネット上の利用者の意見を見ると、民放連の反対意見に支持が広がっているわけではなさそうだ。今回の「見解」の指摘内容が「何を言いたいのか分かりにくい」との批判があるうえ、ネット配信自体に消極的な姿勢を見せる民放連に、「既に時代遅れなのに、ますます取り残されますね」「民放で『見たいな!』と思わせるオンデマンドサービスが無いくせに」と厳しい声も出た。

   上智大学文学部新聞学科(メディア論)の碓井広義教授は、NHKがネット同時配信を実現しようとする姿勢に一定の評価をする一方、民放連の「見解」には「自らの利益を守ろうとする要素が強く、利用者の目線が欠如している」と話す。テレビ以外にも番組を受信できる「経路」が増えれば当然、視聴者にとって利便性が高まる。その視点が民放連にはないというのだ。

   碓井教授は、景気の低迷による広告収入の減少、それによる番組の質の低下で民放から視聴者離れが起きている現状を指摘。一方で若者の間では、「テレビいらない、ネットで動画サイト見ればいい」という学生も多く、メディアの利用に変化が起きている。その状況で今度は、NHKがネット同時配信を進め始め、民放の危機感はこの上ないというのだ。

   「ネット配信は著作権などをクリアするのが難しい、というのは、実は十数年前から民放が主張していました。これまでにも、その気になれば出演者との契約にネット配信の条項を盛り込むこともできたはず。今も同じ主張を繰り返しているのは、ネットへの対応の遅れを反省していないのでしょう」

   NHKが、ネット配信に伴う「受信料負担」を持ちだしたのは、議論を進めるうえで、批判覚悟での行動ではないかと碓井教授は考える。実際の料金体系はまだ何も決まっていないからだ。碓井教授は「パソコンを持っているから(自動的に)受信料を払う、ということではなく、将来は地上波、衛星放送、ネット配信のセットでの受信料になるのではないでしょうか。そこには、過去の番組を見られるサービスも含まれるでしょう」と推測する。一方民放は、広告収入が厳しくなっている今こそ、ネット配信のモデルを真剣に考えるべきではないかと提言する。

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