メキシコ北東部ヌエボラレドの歩道橋に20代の男女2人が惨殺され、死体を吊されるという事件が起きた。米CNNなど複数の海外メディアが伝えた。この男女はソーシャルサイトで麻薬組織を糾弾するカキコミをしたといい、歩道橋には「インターネットにおかしなことを書き込むやつはみな同じ目に遭うだろう」などと書いた張り紙があった。
日本ではメキシコで起きている「麻薬戦争」の怖さを改めて認識し、掲示板「2ちゃんねる」では「おれら全員歩道橋だな!」などといったカキコミが出ている。
耳や指を切断されるなど拷問の痕跡
CNNの日本語サイトは2011年9月15日付けで、「歩道橋に惨殺遺体、ネットで犯罪糾弾の見せしめか」という記事を掲載した。それによると11年9月13日に歩道橋に若い男女の死体が吊され、耳や指を切断されるなど拷問の痕跡があった。このほか、女性は腹部を切り裂かれ臓器がはみ出た状態、男性は右肩の骨がのぞくほどの深い傷があった。遺体近くに張り紙があり「インターネットにおかしなことを書き込むやつはみな同じ目に遭うだろう」と書かれ、麻薬犯罪を告発しているブログや、フォーラムが名指しされていた。殺された二人は麻薬組織の批判や悪口を書き込んだらしい。
メキシコは世界最大の麻薬の生産・流通地になっている。取引額は年間数十億ドルといわれ、メキシコ経済が貧困化するなか麻薬を巡る利権の抗争が起こり、深刻化している。
メキシコではここ数年、麻薬を巡り凄惨な事件が続いている。11年7月30日付け朝日新聞によれば、2010年の殺人による死者数は2万4374人と予想され、この多くは麻薬組織間の抗争に巻き込まれた犠牲者だ。07年と比べると2.7倍になった。治安の悪化が著しい町では警察官のなり手がいないという。
当初は麻薬組織同士の抗争だったが、メキシコ政府、警察が制圧のために加わり激しさを増した。麻薬組織は「一般人」にもその手を伸ばすようになり、例えば今年は8月までに5人の記者が殺害された。1人の女性記者は首を切断された状態で見つかった。麻薬組織から警察や軍の情報を漏らすよう脅され、事件に巻き込まれたという。
2010年は若い女性弁護士が手足を斧のようなもので切断され、全裸で道に捨てられていた。背中には麻薬組織の犯行声明が張られていた。この写真はネット上にばらまかれ、恐怖を煽った。