床屋談義こそが町づくりの原点だ【岩手・大槌発】

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孫の頭を刈る越田さん。自然と顔がほころぶ=大槌町の第7仮設住宅の玄関先で
孫の頭を刈る越田さん。自然と顔がほころぶ=大槌町の第7仮設住宅の玄関先で

(6日大槌発=ゆいっこ花巻;増子義久)

   「阪神(大震災)の孤独死が他人事と思えなくなってきた」―。越田ケイさん(73)は一人住まいの仮設住宅でポツリと漏らした。東日本大震災で「越田理容店」は跡形もなく津波に流されてしまった。漁師を続けながら店を支えてきた夫の義男さん(当時70歳)は大震災のその日に遺体で発見された。


   「関所」と呼ばれ、人の絶えない店だった。「散髪する人より床屋談義に花を咲かせる近所の人たちのたまり場。それが震災後はみんなバラバラに散ってしまった。訪ねてくる人もいない。頭がどうにかなりそう」。そんな越田さんの元に仮設住宅に入居して2カ月が過ぎたころから、散髪の依頼が少しずつ来るようになった。「やっぱり、ばあちゃんのハサミじゃなくちゃ」。チョッキン、チョッキン…。晴れた日は青空天井の下に、雨の日は仮設住宅の玄関先に懐かしい散髪の音色が響くようになった。


   「ハサミを手にしたとたん、笑いが絶えない店のたたずまいが目によみがえった。バラバラになったつながりを結び直すのは床屋の役目。床屋談義こそが町づくりの原点だと思うようになった」と越田さん。


   4畳半一間の仮設住宅で鬱々(うつうつ)していた気持ちを吹っ切ろうと最近、近所に15坪ほどの土地を借りた。「越田理容店」の再建には遠くは岐阜県高山市の理容師さんたちや県内の仲間たちが理容用品を提供するなどの協力を申し出ている。あとはプレハブの小屋を用意するだけだ。



   広さ6畳ほどのプレハブを格安で提供してくれる人を探しています。中古物件でも良いのでご一報いただければ幸いです。一日も早い「越田理容店」の再建を願って。



ゆいっこ
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