マニュアル化で「伝承する」雰囲気なくなった?
「伝承することを求められなかった」との回答が多かったことについて、産業能率大学は背景に「業務のマニュアル化」があるとみている。マニュアル化は、いまでは珍しくないが、「そもそもマニュアルは会社に勤めている社員一人ひとりの経験から得られたものが反映されています。いまの若い社員はでき上がったマニュアルにそって仕事をこなすだけで、そのマニュアルがつくられた経緯や背景は伝わりづらい。さらに最近は短期間で成果が求められるようになって、個人から個人へ肌感覚で伝承すること、じっくり後輩に伝えていく雰囲気が職場になくなっています」と分析する。
一方、技能や知識、ノウハウが「伝承できている」と回答した人(61.0%)のうち、「自然と技能や知識を教えあう風土があった」(44.9%)、「意図して技能を伝承してきたため」(43.1%)と、回答した人がそれぞれ4割を超えた。
同大学は、「経験を伝えることはむずかしいことですが、シニア層の埋もれた技能やノウハウを伝承していくためには、意図的に目に見えるような仕掛けをつくり出していくことが不可欠です」という。