歌手の佐良直美さん(66)が37年ぶりにドラマの主題歌を歌う。かつては「紅白」の常連だったが、1980年代後半から芸能活動から退いていた。
水谷豊さんが主演するドラマ「居酒屋もへじ」(TBS系 2011年9月25日放送)で、2010年11月に発売された佐良さんの27年ぶりの作品「いのちの木陰」が主題歌として使われる。レコーディングに立ち会った同ドラマのプロデューサー、石井ふく子さんは同曲について「声が温かくて、気持ちの中にすうっと入ってきました」とコメントし、「心のふれあいを描く『居酒屋もへじ』にぴったり」と即決したということだ。
80年に「レズ騒動」、87年には事実上の引退
佐良さんは、1967年にデビュー曲「世界は二人のために」が大ヒット。伸びのある歌声は世代を超えて支持され、この年から79年まで毎年NHK紅白歌合戦に出場した。歌手業だけでなく、ドラマ「肝っ玉かあさん」「ありがとう」では女優としても活動していた。
しかし、1980年に女性タレントと同性愛の関係にある、と報じられ、87年には芸能界を事実上引退。その後は、実業家として栃木県内でペットのしつけ施設を経営していた。
復帰作「いのちの木陰」が発売された2010年11月に、引退したときと復帰のいきさつについて語っている。東京スポーツのインタビュー記事で、「レズ騒動」が芸能界から身を引くきっかけになったのかと聞かれ、「それは全く違います」と否定。報道の内容は「まるっきりウソ」だったといい、「しょうがないです。事務所を独立した後でしたし」。当時は頭にきていたという。
綾戸智恵のものまねで周囲が「また歌わないとダメだ」
実際の理由は、佐良さんが師としていたジャズ歌手の水島早苗さんが78年に亡くなり、自分の歌い方が正しいのか分からなくなってしまった。そして、86年に水島さんに捧げたアルバムを出して、燃え尽きてしまったのだという。
その後、87年に声帯ポリープの手術で1年ほど声が出なくなったり、実家の事業を手伝うようになったりで、歌から遠ざかってしまったという。2010年に復帰したのは、旧知の人と正月に集ったとき、綾戸智恵さんのものまねをして歌ったら「また歌わないとダメだ」としつこく言われたからだそうだ。ただ、「本格復帰」とは少し違うようで「やってもあと1~2回でしょう。それで体力の限界」と話していた。
また、2011年3月11日の東日本大震災では、栃木の自宅が半壊。壁に亀裂が入り、解体を余儀なくされた。約150匹の犬や猫は無事だったという。
今回、37年ぶりにドラマの主題歌に決まったことで、2ちゃんねるには「子供のころドラマでよく見てたなあ」「直美ねえさんの歌いい まじ楽しみ」「本日のおっさんホイホイスレですか?」といった書き込みが寄せられている。