大阪市職員中途採用に440倍応募 「橋下公約」の「2割削減」怖くない?

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   大阪市が社会人経験者を対象とする中途採用を初めて募集したところ、採用予定者(5人程度)の440倍にあたる約2200人が応募した。

   高い人気を誇る橋下徹・大阪府知事が、2011年11月の大阪市長選へ立候補し、知事選とのダブル選になることが確実視される中、橋下氏の市長当選を想定し、「一緒に働きたい」という人が殺到したのだろうか。それとも景気が厳しい中、「安定している公務員」へ人気が高まったからなのだろうか。

橋下人気?景気の影響?

どうなる大阪市長選
どうなる大阪市長選

   常勤の正規行政職員の中途採用試験は、8月末に締め切られた。9月25日に実施される。応募した全員が受験するかどうかは不明だが、大阪市任用課では、「ここまで応募が多いとは予想していなかった」と驚いている。

   応募資格は、「民間企業で5年以上の勤務経験」。定年直前の59歳までが対象だ。2200人の内訳は、詳しい分析はまだだが、「30代と40代」、「契約・派遣社員」の人が多いようだ。大阪府内だけでなく、近畿圏からの応募が目立つ。男性が約3分の2を占めている。

   大阪市のある関係職員は、応募が多かったことについて、「景気の状況を受けたものかもしれないし、(橋下知事をめぐる報道などで)大阪市への注目が高まっている、ということを反映している部分もあるかもしれません」と話した。大卒事務の採用試験の競争率は、例年15倍前後という。

   「橋下市長」の誕生を予想し、「橋下氏と一緒に働きたい」という人もいるのではないか、との見立てについては、「それはどうでしょうか。何とも言えません」と答えるにとどまった。

   一方、大阪府の「大阪版労働力調査」(2011年6月分)によると、府の完全失業率は5.0%で、全国(4.7%)よりやや高い。また、就業者に占める非正規労働者の割合も45%と全国(34%)を上回っている。「安定した公務員」の人気が高まっても不思議ではない。

橋下・維新の会は「市職員2割削減」

   もっとも、橋下知事が代表を務める地域政党、大阪維新の会では、市長選の公約として、局長などの幹部職の公募や将来的な職員数の2割削減、1人あたり人件費の1割削減などを打ち出している。9月13日、こうした内容を含むマニフェスト素案を公表している。

   せっかく440倍の狭き門を突破しても、仮に「橋下・新市長」が誕生した場合、「職員2割削減」の対象にならない保証はない。

   そんな「不穏」な空気が反映したのか、と勘ぐりたくなる動きも出ている。

   大阪市の早期勧奨退職制度(年2回)を利用して9月末に辞める職員が、前年同期より2倍以上に増えているのだ。2010年9月末は32人と例年なみだったが、今回は80人に急増した。急激な市政改革を主張している橋下氏の市長当選を恐れ、「今のうちに……」という空気が出始めているのだろうか。

   大阪市の総務局人事課では、急増した理由の分析は「難しい」としている。介護や体調不良など様々な理由で申請されている。バス事業の外部委託拡大に関連し、交通局では「早期勧奨」の対象年齢層が広がったため、同局内の申請が増えたのはある程度説明できる。しかし、交通局(26人)を除いて計算しても2倍近く増えており、「理由は不明」だ。

   一方、橋下知事と対立を深めている現職の平松邦夫市長は、9月19日に再選へ向け立候補表明することを決めた、と複数のメディアが報じている。

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