「聞かれたら、答えます」――ネットでメンバー同士が質問者不明のインタビューに回答し合うサービス「ザ・インタビューズ」が人気だ。
「Q&A」サイトや既存のSNSとは一線を画したコンセプトで注目を集め、2011年8月の公開から1か月ほどで登録者数は約6万8000人に達した。
人気の背景には深い交流求める思い?
自分がだれかにインタビューされる。そして答える。でも、だれにインタビューされているかはわからない――その名もずばり「ザ・インタビューズ」というサービスだ。
メンバーは、「新着メンバー」から見つけた興味のある人、あるいは知人に質問を投げかける。質問文には差出人名が付かない。届いたら、自由に答えて楽しむ。コンテンツはあくまで「インタビュー」だけだが、互いをじっくり知ることができるサービスとして存在感を示している。
人気の背景には、ツイッターやフェイスブックで気軽なコミュニケーションが広がったことがある。ユーザーたちには「もっと自分を知ってほしい」「相手をもっと知りたい」という思いが募り、「質問されたい」という気持ちと「気軽に質問してみたい」という双方向の気持ちが「インタビュー形式」と「差出人不明の質問」によって、うまく結び付けられたようだ。
実際にインタビューページを見てみても、面と向かって話すには恥ずかしい「奥さんの好きなところを教えてください!」といった質問や、仕事への考え方、恋愛相談、大喜利と化したネタまで、バリエーション豊かなインタビューを双方が楽しんでいる。また、著名なクリエイターなども参加していることが人気に拍車をかけているようだ。
「質問するときのドキドキ感、質問されたときのワクワク感、そして質問に夢中で答えているときの陶酔感。このあたりがサービスの魅力だと思いますね」と語るのはサービス開発を提案したpaperboy&co.(東京・渋谷区)のメンバー。
5日で産まれたスピード開発
「ザ・インタビューズ」は7月に行われた社内合宿で「産まれた」サービスで、5日間という驚きの早さで開発されたそうだ。現在はベータ版として有志で運営している。 「企業サイトに掲載されているような『社員インタビューコンテンツ』を簡単に作れる仕組みを作れればと個人的に考えていたところ、ちょうど合宿があったので提案してみました」(開発者)。
個人ページには回答したインタビューが一覧で表示されるだけでなく、ヘッダー画像やプロフィール欄をカスタマイズすれば、有名人のインタビュー記事のような見栄えになる。また、閲覧はメンバー以外も可能で、ツイッターやブログにURLを貼って自己紹介ページのように利用するなど、幅広く活用できるのも特長だ。
9月13日時点でフェイスブックの「いいね!」は7000以上、ツイートも8000を超え、PVも1日に200万を記録した。開発メンバーにとっても、この反響は予想以上という。
だが、話題になる一方で「質問者のユーザーIDが相手にわかるように仕様変更される」という誤報が拡散するトラブルも発生した。それについてはフェイスブックページで否定しており、「不快な質問」への対応策も検討中だと回答している。また、ユーザー側もプロフィールや回答で個人情報をオープンにしすぎないよう注意することも必要だろう。
運営メンバーの目標は「『インタビューコンテンツつくるならザ・インタビューズでやればいいよね』と言ってもらえるようなサービス」。現在は、「もっと楽しんでもらえるしくみ」の開発や改善を進めているそうだ。