投資ファンドの「買い支え」が投資家に一定の安心感
直接の大きな材料は米国時間の2日、米連邦住宅金融局(FHFA)が、野村を含む大手金融機関17社に対し、住宅ローン担保証券(MBS)関連で損害賠償訴訟を起こしたことだ。FHFAは経営破綻したファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の監督機関で、野村などが両公社にMBSを販売するリスクを十分に説明しない過失があったというもの。野村は20億ドル超(約1600億円)を販売しており、訴訟リスクから売りが先行した。
「世界的に業務を展開する野村は、欧州の金融不安 などの業績への影響がより懸念された」(大和幹部)との見方も、そこそこの説得力はある。
一方、大和が持ちこたえた理由として挙げられているのが、筆頭株主の米シカゴの投資ファンド、ハリス・アソシエイツの存在だ。大量保有報告書で2007年8月に初めてその名が登場。市場内で少しずつ買い増すペースを11年に入って上げており、8月5日提出の報告書では13.44%まで保有比率を上げている。
「資産運用」を目的とするハリスの「買い支え」が投資家に一定の安心感を生んでいるだけでなく、「再編が近いのでは」との思惑も呼び、株価下落のカーブを野村より緩やかにした面もあるようだ。
9月13日の両社の株価は、野村が前日比10円高の296円、大和が同8円高の297円だった。