海外における日本文学研究の第一人者で、日本に永住するために来日したドナルド・キーンさん=米コロンビア大名誉教授(89)=が9月11日、岩手県平泉町の中尊寺で講演、世界文化遺産に登録された「平泉」や、長年抱いてきた日本への思いを語った。
岩手日報など地元メディアによると、キーンさんは講演後、震災に触れ、終戦後の日本の復興を引き合いに「思いやりと秩序ある日本人は復興できると信じている」「東北でも同じことができる」と語った。
講演は中尊寺の本堂で、東日本大震災の犠牲者を追悼する法要に続いて行われ、約250人が聴講した。
キーンさんは1955年に初めて中尊寺金色堂を訪れた時のことを振り返り、「やっとのことで世界遺産となった」と登録実現を喜んだ。日本国籍取得について「中尊寺に参拝以来、現在まで日本を考えない日はなかった」と強調、「日本人と特別に縁があると思い一番したいことだった」と語った。
キーンさんは戦時中に出合った「源氏物語」について「(戦争という)汚い世界から、きれいな世界に逃れることができとても救われた」と日本文学への思いを述べた。