「自転車のあさひ」快走ぶっちぎり 米フォーブス誌が「日本一の中小企業」に

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   米経済誌「フォーブス」(アジア版、2011年8月31日発売)が「2011年 アジアの中小企業200社」(売上高10億ドル=770億円以下を対象)を公表した。その中で、日本で唯一選ばれたのが、自転車の製造・販売の会社「あさひ」。いわば、米フォーブス誌が認定した「日本一の中小企業」といえる。

   日本企業は09年には24社が、10年は2社が選ばれていたが、今年はとうとう1社だけ。トップは中国・香港の65社。インドが35社、台湾25社と続き、さびしい限り。しかも、じつは「あさひ」は歴とした上場企業なのだ。

自転車の「安心・安全」を売る大型店

快走する「自転車のあさひ」(写真は、「サイクルベースあさひ」のホームページ)
快走する「自転車のあさひ」(写真は、「サイクルベースあさひ」のホームページ)

   米フォーブス誌が日本一と認めた「中小企業」、「あさひ」は本社を大阪市に構え、「サイクルベースあさひ」の名称で全国に254店舗(8月30日現在)を展開する。11年2月期の売上高は287億円、純利益は21億円。従業員(パート・アルバイトを除く)は786人という会社だ。

   じつは同社がフォーブス誌の「アジアの中小企業200社」に選ばれたのは3年連続。「本業が評価されて選ばれたのですから、大変喜ばしく思っています」(経営企画部)と、うれしそうだ。

   これまで自転車の販売といえば、地域の小さな自転車屋か、低価格の「ママチャリ」をホームセンターなどに並べてセルフ販売するスタイルが一般的だった。それを「あさひ」は自転車の品揃えを豊富にした大型店で、ユーザーのニーズにあった自転車を販売。技術者を育成して、購入後の修理も手がけることで、「自転車の安心・安全を販売した」ことが奏功した。

   8月の売上高は前年比26.8%増(全店ベース)。既存店ベースでも13.0%増と好調で、同社は「出店して2年目以降の店舗では修理や点検に訪れるユーザーが増えていて、われわれのサービスが受け入れられていることを実感できます」と語る。

中小企業といわれても、「抵抗はありません」

   ところで、一般に「中小企業」というと会社の規模が小さく、未上場といったイメージがある。中小企業基本法では、たとえば製造業は「資本金または出資金が3億円以下、あるいは従業員数が300人以下」であれば中小企業と定義している。

   一方、東京証券取引所の上場基準(東証1部)によると、株主数2200人以上、時価総額500億円以上、流通株式数の比率35%以上、純資産額10億円以上などの基準を満たせば上場できる。つまり、「中小企業だから上場できない」という基準はなく、たとえば従業員100人の会社であっても「上場は可能です」(東証)という。

   自転車の「あさひ」も東証1部に上場している。資本金は21億円。純資産121億円(2011年2月期)というのだから、上場基準はもちろん満たしているし、従業員数も「300人以下」ではないから、法に照らせば「中小企業」ではないことになる。

   日本一の「中小企業」と言われることに、「あさひ」は「自転車を安心・安全に乗ってもらうとの思いでやってきた結果の売上げですから、そう(中小企業と)言われたとしても抵抗はありません」と話している。

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