鉢呂吉雄経産相が不適切な発言で辞任に追い込まれた問題で、辞任会見での記者の態度が批判を浴びている。会見では、辞任の理由となった発言の内容について説明する声が相次ぎ、中には「説明しろって言ってんだよ!」と、ヤクザまがいの言葉遣いをする記者も出た。会見場での記者の傲慢な言葉遣いは、今までもたびたび批判されており、問題が繰り返された形だ。
鉢呂氏は、福島第1原子力発電所周辺の自治体を「死の街」と表現したことと、原発視察後、記者に防災服をなすりつけるしぐさをしたことが問題視された。
「説明しろって言ってんだよ!」
後者については、非公式な(いわゆる「オフレコ」)懇談の場での出来事だったこともあって、具体的にどのような発言をしたかは明らかではない。実際、各社の記事でも、
「放射能をうつしてやる」(共同)
「放射能をつけちゃうぞ」(朝日)
「放射能をつけたぞ」(毎日)
「ほら、放射能」(読売)
「放射能をつけてやろうか」(日経)
と、表現がばらついている。このため、2011年9月10日夜に開かれた会見では、発言の具体的な内容を確認する質問が相次いだ。批判を浴びることになる記者の質問は、この中で出た。
幹事社の共同通信が質問を終えた直後に、男性記者が突然、
「すいません、あの、一連の発言と仰いますけども、具体的に何を発言してお辞めになられるのか、具体的に仰っていただかないと、なぜお辞めになるのかわかりません」
と質問。記者会見で質問するときは、社名と自分の名前を名乗るのが通例だが、この記者はそれをしなかった。
鉢呂氏が、原因について(1)「死の街」という表現をした(2)記者との非公式懇談の場で「不信を抱かせるような言動があったというふうに捉えられた」、などと説明すると、記者は、
「具体的にどう仰ったんですか。あなたね、国務大臣をお辞めになられるんだから、その理由ぐらいきちんと説明しなさい」
と命令口調に。鉢呂氏が「非公式の記者の皆さんとの懇談ということもあって、そのひとつひとつに定かな記憶というものもありませんので」と釈明すると、記者は鉢呂氏の発言をさえぎって
「定かな記憶がないのに辞めるんですか。定かな事だから辞めるんでしょう。きちんと説明ぐらいしなさい!最後ぐらい」
と声を荒げた。鉢呂氏が「私は国民の皆さん、福島県の皆さんに不信の念を抱かせた。こういうふうに考えて…」と続けると、記者は、
「何を言って不信の念を抱かせたか説明しろって言ってんだよ!」
「何を言ったからだってだってんだよ!」
と怒鳴った。